コラム

『銭湯もりあげた~い』事務局長が選ぶ! 東京23区のおすすめ銭湯10選

仕事で疲れた体を癒すなら、「ゆったり温泉に浸かりたい。でも、休みの日も案外忙しくて温泉旅行には行けないよ」というアナタ。そんなときは、近場にある銭湯はいかがでしょうか?
昔より数は減ったとはいえ、まだまだ銭湯は健在。東京都内だけでも500軒以上の銭湯が現役で活躍しています。

近年の銭湯は、リニューアルをしているものも多く、サウナやジャグジー、複数の浴槽を備えていたり、小さいながらも露天風呂があったり、いわゆる「スーパー銭湯」に引けを取らないところもあります。一方で、昔ながらの良さを引き継いで、番台が残る銭湯や、富士山のペンキ絵が眺められる銭湯、天然温泉が自慢の銭湯も。これで、都内一律460円というのだからお得です。そんな銭湯の魅力を、アロマテラピストで「銭湯もりあげた~い」事務局長の荒木久美子さんにお聞きしました。

銭湯は大きく分けて、昔ながらの銭湯と、リニューアルした銭湯に

一口で「銭湯」といっても様々なタイプがあり、銭湯ごとに個性があります。特に、昔ながらの工場や町並みが残る大田区、江戸川区、足立区は、23区内でも銭湯の多い地域。天然温泉もあったりと、多種多様な銭湯があるので、好みや気分によって使い分けることもできますね。

最近の銭湯を大きく分けると、番台がある昔ながらの銭湯と、建て替えやリノベーションなどをしてリニューアルした新しい銭湯があります。さらに後者の銭湯には、洗い場は富士山のペンキ絵があるといったノスタルジックな特徴を残しつつ、シャワーや脱衣所などの使い勝手を向上させたタイプや、見た目も使い勝手もオシャレで最新のデザイナーズ銭湯ともいえるタイプなどに分けることができます。
そういったノスタルジックな雰囲気から、銭湯好きの方々の利用はもちろん、若いカップルがデートで利用するなど新たな需要も生まれているのです。

富士山のペンキ絵とナノファインバブルの露天風呂が混在する銭湯

リニューアルをしてさらなる人気を博している銭湯のひとつに「天然温泉 湯どんぶり栄湯」があります。2017年にリニューアルした栄湯は、台東区日本堤に店を構える創業70年以上の老舗銭湯。井戸の湧水を使った天然温泉を超軟水化させたお湯が自慢です。ナノファインバブルの露天風呂やつぼ湯(どんぶり湯)、ヒマラヤ岩塩のサウナなど使い勝手とデザイン性を高めた湯船に対し、昔からの銭湯らしい富士山と松が描かれたペンキ絵が広がる洗い場が、新旧混在する空間を醸し出しています。さらに、都心らしくランナー用のロッカーを用意しているほか、マッサージもあるなど、スーパー銭湯に負けない設備もあります。

こういった銭湯はほかにもあり、本格的な食事が楽しめる台東区の「萩の湯」や、バーカウンターのある港区の「三越湯」などが有名です。一方で、今はほとんどなくなっている番台があるのが銀座の「金春湯」や大田区の「明神湯」など。「明神湯」は破風屋根による立派な外観と番台という古風なたたずまいで、ロケも多数行われています。

濃密な人間関係こそが魅力の銭湯

数々の都内の銭湯を巡っている荒木さんに、銭湯の魅力を改めてお聞きすると、「銭湯には、深い人間関係が残っています。ほとんどが常連さんなので、初めて来た人はすぐにわかります。でも最初に挨拶するだけで、するりとその空気に溶け込むことができるんです。常連さんとの関係性が魅力です」とのこと。

特にそれを感じるのが、「初めて?」と聞かれずに、「今日は暑かったね」など知り合い同士のように話しかけられたときなのだとか。「時には、おばあちゃんのお話に付き合っていたら、上がるタイミングを失くしてしまうのも、また楽しい点です」。

下町の銭湯は比較的年齢層が高い、東京の西側の銭湯はオシャレなところも多いといった地域による特色の影響は多少ありますが、利用者たちの雰囲気を含めて、「その銭湯の特色」がつくられているのです。

仕事をきっかけに広がり、さらなる活動が生まれた

荒木さんと銭湯との出会いは、2011年に遡ります。当時、他に仕事を持ちながら、アロマセラピストとしても活動していた荒木さんは、知り合いのセラピストから銭湯でハンドマッサージを施術するボランティアに参加してみないかと声を掛けられました。

元々、お風呂好きでスーパー銭湯などにはよく行っていたという荒木さん。すぐにスーパー銭湯とは違う、地元の人々がまったりと集い濃い人間関係が残る銭湯の魅力にハマっていったそうです。荒木さん曰く、「銭湯は、老若男女、世代を超えて空間を共有できる場所」。現代社会において、お年寄りから赤ちゃんまでが楽しめる場所はとても貴重です。

しかし、ボランティア活動を1年、2年と続けていく間にも、銭湯は数を減らし続けていきます。荒木さんが銭湯にはまる頃には、銭湯を盛り上げようと個人的に活動している人たちとも交流が生まれるようになり、2014年、浅草芸人の風呂わく三さんを代表とする「銭湯もりあげた~い」を一緒に発足させたのでした。

銭湯は、身近で味わえる非日常。俗世を忘れてひととき別世界に浸る

一部の愛好家や物珍しさで訪れる若い人たちが増えてはいますが、銭湯にとっては毎日、来てもらえる近所の常連さんたちが欠かせません。しかし、今はほとんどの家や賃貸物件にシャワーやお風呂があり、かつて「日常」であった銭湯でのお風呂体験は「非日常」になっています。

「それでも、銭湯には精神的、身体的な利点が多くあります。銭湯のように大きな湯船につかることで、家のお風呂より体に水圧がかかり、疲労回復が期待できますし、高い天井の下でお湯に浸かることによってリラックスすることができます。以前、日中に訪れた銭湯で、ふ~と一息ついて天井を見上げたら、日の光が絶妙な角度で降り注いでいて、何とも言えない充足感を感じたんです。こんなに身近な場所で非日常感を味わい、リフレッシュできるものってなかなかないと思います」と荒木さん。そこで、荒木さんに東京23区内にある、オススメの銭湯 厳選10スポットをご紹介いただきました。

荒木さんオススメ 初心者でも入りやすい東京23区内の銭湯10選

■昭和を感じるノスタルジックな銭湯
1.タカラ湯
昭和2年創業の老舗銭湯。宮造りの外観に縁側、そして“キングオブ縁側”、“キングオブガーデン”とも言われる、錦鯉が泳ぐ立派な日本庭園がある。庭園側は男湯だが、毎週水曜日は男湯と女湯が入れ替わるため、女性も庭園を楽しめる。洗い場のペンキ絵は、日本に3人しかいない銭湯の背景画絵師の丸山清人氏によるもの。

住所:足立区千住元町27-1
電話番号:03-3881-2660
営業時間:15:00〜23:00
定休日:金曜日
アクセス:北千住駅徒歩20分
URL:http://slowtime.net/takarayu/

2.明神湯
宮造りの外観に加え、昔ながらの番台や、最高齢の背景画絵師・丸山清人氏による富士山のペンキ絵が残る、「The昭和」の銭湯の特徴を残している銭湯。その魅力的な外観、内観から、ロケも多数行われている。

写真提供:【公式】東京銭湯|東京都浴場組合 http://www.1010.or.jp

住所:大田区南雪谷5-14-7
電話番号:03-3729-2526
営業時間:16:00〜23:00
定休日:5日、15日、25日(日曜祝日の場合は翌日)
アクセス:雪ヶ谷大塚駅より徒歩14分
URL:http://ota1010.com/explore/%E6%98%8E%E7%A5%9E%E6%B9%AF/

■天然温泉が出る銭湯
3.天然温泉湯どんぶり栄湯
2017年に大幅リノベーションをし、ナノファインバブルバスの大露天風呂やヒマラヤ岩塩のサウナなど最新の湯船を揃えている。それでいて、洗い場には昔ながらの富士と松のペンキ絵があり、懐かしさを感じる和とモダンが混在した銭湯。絵師は著名な銭湯絵師・中島盛夫氏の弟子である田中みずきさん。

住所:台東区日本堤1-4-5
電話番号:03-3875-2885
営業時間:14:00〜24:00(日祝 12:00〜24:00)
定休日:水曜日
アクセス:三ノ輪駅・南千住駅徒歩11分
URL:http://sakaeyu.com/

4.はすぬま温泉
2017年に大正ロマンをコンセプトに、道後温泉風の雰囲気を出した銭湯としてリニューアル。東京の温泉のひとつである茶褐色の天然温泉が自慢。炭酸泉をはじめとしたすべての浴槽が温泉で、メインの風呂と水風呂は源泉かけ流し。洗い場ではなくロビーに背景画絵師・丸山清人氏が描いた富士山のペンキ絵がある。


写真提供:【公式】東京銭湯|東京都浴場組合 http://www.1010.or.jp

住所:大田区西蒲田6-16-11
電話番号:03-3734-0081
営業時間:15:00〜25:00
定休日:火曜
アクセス:蓮沼駅徒歩2分(蒲田駅徒歩10分)
URL:http://www.1010.or.jp/map/item/item-cnt-448

■地域の人と触れ合える
5.富士見湯
1952年開業。1996年にマンション型の銭湯に生まれ変わり、その際に海抜2000メートル以上、樹齢千数百年を超える巨木の古代檜や、今は採取が禁止されているラジウム放射線を有する北投石で作られた浴槽を設置。近くには戸越銀座があり、地元の人が多く集まる憩いの場所である。

住所:品川区東中延1-3-8
電話番号:03-3782-6120
営業時間:15:30〜23:30
定休日:水曜日
アクセス:荏原中延駅徒歩5分
URL:http://www.fujimi-yu.com/

6.金春湯
銀座の地に江戸時代から続く、老舗の銭湯。東京では数少ない番台があり、富士山のペンキ絵のほか、洗い場にはタイル絵職人として名高い章仙の錦鯉、春秋花鳥のタイル絵がある。ペンキ絵は中島盛夫氏によるもので、男湯、女湯で異なる。有名な銭湯なので、遠くから来る人がいる一方で、新橋、銀座などで働く人や地域の人からも愛されている。

住所:中央区銀座8-7-5
電話番号:03-3751-5469
営業時間:14:00〜22:00
定休日:日曜・祝日
アクセス:新橋、銀座駅徒歩5分
URL:http://www002.upp.so-net.ne.jp/konparu/

■今風のモダンな佇まいがおしゃれなスマート銭湯
7.ふくの湯
2011年にリニューアル。タイル張りと木の壁に描かれた弁天様と大黒天の絵が印象的な、和モダンな銭湯。2016年には、丸山清人氏と中島盛夫氏が2つの風呂場の絵をそれぞれ担当。銭湯の背景画絵師として名高い両氏の絵が楽しめる貴重な銭湯となった。男湯と女湯は週替わりで交代するため、どちらの絵も楽しめる。土日は朝8時から営業しており、遠方からもカップルなどが訪れる人気の銭湯。

住所:文京区千駄木5-41-5
電話番号:03-3823-0371
営業時間:11:00〜24:00(土曜・日曜・祝日 8:00〜24:00)
定休日:年中無休
アクセス:本駒込駅徒歩6分
URL:http://www.sentou-bunkyo.com/pg65.html

8.ひだまりの泉 萩の湯
光マイクロバブル湯、炭酸線、大型サウナ、塩サウナなど、スーパー銭湯並みの施設を完備。銭湯としては珍しく本格的な食事処があり、ファミリーはもちろん独身男性などからの人気も高い。入り口には、ペンキ絵師・田中みずきさんが描いた富士山の屏風がある。

住所:台東区根岸2-13-13
電話番号:03-3872-7669
営業時間:6:00〜9:00/11:00〜25:00
定休日:第三火曜日
アクセス:鶯谷駅徒歩3分
URL:http://haginoyu.jp/

9.アクアガーデン三越湯
まるで白金にある料亭のような和モダンな外装が洒落ている銭湯。リニューアル時にかつての柱だった檜を一枚板のバーカウンターにし、ビールサーバーを設置。湯上りに本格的なアルコールが楽しめる。バーカウンターがある銭湯のはしりでもある。

住所:港区白金5-12-16
電話番号:03-3473-4126
営業時間:15:30〜22:50
定休日:金曜日、第三木曜日
アクセス:白金高輪駅徒歩15分
URL:http://spa-tokyo.net/z-t-mitsukoshi/

10.みどり湯
ギャラリーと茶室を併設させた銭湯。ギャラリーでは不定期でイベントが開催され、茶室では抹茶体験ができるという珍しさ。月に1回ある、江戸の時代には必ずいた背中流しの「三助」とマッサージが体験できるイベントがある。ペンキ絵は田中みずきさん。

住所:目黒区緑が丘2-7-14
電話番号:03-3717-4516
営業時間:14:15〜24:00
定休日:木曜日
アクセス:自由が丘駅徒歩7分
URL:http://midoriyururi.com/

外観・内観だけじゃない。お湯にもこだわりたい銭湯ライフ

今回、荒木さんには東京23区内にあるおすすめの銭湯をいくつか紹介してもらいました。どれも人気があり、比較的、初心者でも楽しめる銭湯です。何度か銭湯体験をしてみて、自分の好みを把握してほしいとのこと。使い勝手や機能性、デザイン性に加え、雰囲気に慣れてきたら温泉同様にお湯にこだわってみるのもいいでしょう。井戸水、温泉など水質の違いのほか、昔ながらの薪で炊いたお湯、ガスで炊いたお湯といった湯あたりの加減の違いも楽しめます。

湯船に入る際は、先に入っている人がいたら挨拶を忘れずに。声掛けひとつで印象も空気感もガラリと変わるそうです。さらにもう一歩、常連さんに「おっ、やるな」と思ってもらいたいなら、洗い場では下手、排水溝の近くをキープするとよいのだとか。そして、勝手がわからなかったら、周りの真似をするのが無難。あくまでも、地元の方々のお風呂をお借りしている気持ちと心配りを忘れずに使いたいものです。

また、最近の銭湯では、石鹸やシャンプーが置いてあるところも多く、万が一、洗い場に置いていなくてもフロントに無料で使えるものが用意されています。これは、東京都浴場組合で取り決めたもので、基本的には多くの銭湯がその方針を受け入れているそうです。

タオルの販売やレンタルを用意しているところもあるので、確認してみましょう。慣れてくれば、「お出かけのついでに、ちょっとひと風呂」も気軽にできます。

時には、交通費と時間をかけて行く温泉旅行もいいけれど、普段の疲れをサクッと流せる銭湯で、秋の夜長を過ごしてみませんか?

■取材協力
荒木久美子さん(あらきくみこ)
アロマテラピストで、「銭湯もりあげた~い」事務局長。銭湯でのマッサージをボランティアで続けているうちに、銭湯の魅力にハマる。銭湯を盛り上げるために、個々に活動していた仲間同士て2014年「銭湯もりあげた~い」を立ち上げる。
「銭湯もりあげた~い」
2014年に浅草芸人の風呂わく三氏を代表に起ち上げ。銭湯街歩きツアーや、銭湯プロモーションビデオの作成などを通じて銭湯を知り、通ってもらうことを目的としている。2015年には、あだち銭湯文化普及会を発足。これまでに、銭湯浴室内のペンキ絵の制作現場をライブで見てもらうライブイベントや、「THE あだち銭湯展」などを開催。

(取材・文:岡崎たかこ))