転職ノウハウ

異色の経歴を持つWebマーケターが語る「自分らしく仕事をするためのヒント」

「自分にはどんな仕事が向いているかわからない」、「新しい業界に挑戦したいけれど踏み出せない」という方、多いのではないでしょうか? Webマーケティング会社・ウェブサークルの代表、門田俊介さんは、14年間で10回以上の転職をくり返した経歴の持ち主です。「いつか起業する」という想いを胸にさまざまな経験を積み、Webマーケターとしての道を切り開いた門田さんが語る、自分らしく働くためのヒントとは。

定職につかない“落ちこぼれ”から、未経験でWebディレクターに

――高校卒業後に、転職をくり返していたとうかがいましたが、どのくらいの転職数だったのでしょうか?

18歳から32歳まで14年間で10社以上の転職をくり返しましたね。Web業界に進むまでは職種もバラバラで、家具職人、警備員、出版営業、DTPオペレーター、郵便局員などを経験しました。
自分のなかでは「いつか起業したい」という幼少からの夢を叶えるため、どんな手段をとればよいのか試行錯誤していたのですが、周りから見れば定職に就かず、職種もコロコロと変える“落ちこぼれ”だったと思います。

――そのなかでWeb業界というご自身に合った仕事を見つけた経緯を教えてください

きっかけは、TV番組を見ていた時に、たまたまアフィリエイトというネットビジネスの仕組みを知ったことです。おもしろそうだと思い、独学でモバイル用の掲示板サイトを作りました。
はじめは人気サイトのHTMLソースコードを真似しながら作り、「パクリだ」なんて批判されたりしたんですけれど、どこのコードを変えると何が変化するのか手探りで学びながら、サイトをイチから作り直す作業をしました。
それが結果的に、300万PVのサイトに成長していったんです。

――300万PVはすごい数字ですね

単純に、自分が見たいと思うサイトを作っただけです。当時のモバイルサイトは玉石混淆で、読みたいコンテンツをクリックしたはずが、ライキングサイトをたらい回しにされたり、出会い系サイトの広告が表示されたりして、あまり質のいいものではありませんでした。僕自身、欲しい情報にスムーズにたどり着けないことにストレスを感じていましたし。

そこで、自分のサイトではコンテンツと広告を明確に分けて、気になる人だけ広告をクリックできるようにしました。それが使いやすいとユーザーから好評を得られたんです。
当時の月給が15万円ほどでしたが、帰宅後の作業で月60万円のアフィリエイト収入が得られるようになり、これは真剣に取り組む価値があると考えました。

――そこから、Web業界での就職を目指したのでしょうか
目指したというより、結果としてこの道になったという感じです。僕が経験してきた多くの職種は、いざ起業しようと考えると業界独特のコネが必要だったり、元手が必要だったりして、大変だなという感じでした。けれどもモバイルサイト運営をはじめて、この業界ならコネや資本がなくても挑戦できると感じたのです。とはいっても、個人では広げられる規模が限られていますから、B to Bや、B to Cのビジネスを現場で学ぶべく、就職する道を選びました。

資金やコネがなくても実績を作れる、Web業界での自己PR方法

――就職活動は順調でしたか?

もちろん失敗の連続でしたよ。転職をくり返していましたし、職歴としてはまったくの未経験ですし。けれどもモバイルサイトを自力で作り、ある程度の金額を生み出していたという事実を実績として認めていただき、地元・愛媛の制作会社にWebディレクターとして採用されました。

実のところ、Webディレクターにサイトを作る能力は必要ありません。コードを書ける人や、デザインができる人を集め、ビジネスとして成り立つコンテンツをディレクションすることが仕事ですから。

また今の自分から見ると、独学でのサイト構築の技術はたかが知れていて、スキルとしては相当低かった。それでも採用に繋がったのは、試行錯誤してサイトを作り上げた経験を、実感を持って面接官に伝えられたからだと思います。自主的な行動による経験値は、時に受動的な学びより評価される可能性があるということを、採用する側になった今だからこそより強く感じています。

――現在、Web業界を志す人たちは増えているように感じますが

パソコンやスマートフォンが身近なためか、Web業界への就職を目指す方は確かに増えました。「Webサイトはどう作るんですか?」「どうしたらWeb業界で働けますか?」という質問を受けることも多々あります。

そんなときの僕の答えは「どんなサイトでもいいから、まず作ってみたら」ということ。
僕自身がそうだったように、特別なコネや資金がなくてもパソコンひとつで実績を作れるところがこの業界のおもしろさなのだと思います。頭で考えるよりも、興味があるのならやってみること。その経験は必ず実績になります。

――アイデア次第で人気サイトになり注目を集めることも可能ということでしょうか?

特別なアイデアや発想が、必ずしも必要だとは思いません。おもしろい仕掛けを考えて注目を集めるのも才能のひとつですが、Web業界で求められる人材はそれだけではありません。例えば月1000円で広告を出してサイトへの集客を図る、といった実務的な実績を作るのもアリ。そういった経験は、即戦力と思ってもらいやすいのではないかと思います。

――採用面接で思うように話せないという悩みも多いようですが、どのように話したらよいと思いますか?

経験や実績は大きな武器となりますが、どうアピールするかも大切ですよね。
僕も不採用になった経験がありますが、落ちてしまった面接の内容もPDCAサイクルを回すヒントにしました。Webマーケティングと同じように、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を見直し、次回の面接に向けて問題の解決策を探し続けたんです。そういった作業は、非常に役立つので、ぜひ実践してみてください。

そのなかで見つけた答えは、相手がどういう価値を求めていて、そこで自分がどのように役立てるかということを、実績を示して語ることがセルフブランディングになるということ。「御社で学びたい」だけでは足りないのです。
テクニック的なことで言うと、ポジティブな言葉を使い、ネガティブなことは言わないというのも必要だと思います。

――転職をくり返したという経歴はネガティブにとらえられがちですよね

確かに採用担当者から見れば、転職歴はネガティブにとらえられることが多いと思います。その一方で、伝え方にもよるのかなと感じる部分もあります。
例えば僕の場合は「起業する」という目標と信念があったので、多様な職種に挑戦したこと、そして何を得たかを強調しました。

ビジョンに伴った行動の結果だと伝えれば、採用担当者によっては常にチャレンジする人物だと着目してもらえるかもしれません。実際にいろいろな会社を見てきたことは、会社経営や労働環境作りに活きていますから。

頭で考えるのではなく行動することで、自分らしい働き方は見えてくる

 

――転職を考えている読者にアドバイスをお願いします
自分にできるかとか、向いているかを考える前に、とにかくまずは動いてみるということが大切です。足りないところを埋める努力は必要ですが、「自分に向いている仕事はなんだろう」と頭で考えることに、あまり意味はないと思います。

“やる”か“やらない”かの選択は、人生を大きく変えます。自分に合っているかわからないからと、一歩を踏み出さないのはもったいないことです。その逆に、その仕事が好きか嫌いか、向いているか向いていないかは、それほど大きな問題ではないと考えています。

例えば、好きではない仕事でもやってみたら自分は意外に“できる”とわかったとします。評価されると嬉しいのが人間の性で、次第にそれが好きな仕事に変化していくものです。
また当然ですが、向き不向きは挑戦してみなければ判断できません。やってみて向いていないと感じたなら、また違う道を考えればいいだけですから。「無理かもしれない」と案ずるより、トライする方が建設的なのです。

そうしてトライ&エラーをくり返すうちに、自ずと道は開けるはずです。

(取材・文 梶野佐智子)

■プロフィール
門田俊介(かどた しゅんすけ)
株式会社ウェブサークル(https://webcircle.co.jp/)代表取締役。愛媛県出身。独学でWebサイトの構築・運用を行いアフィリエイトで月60万円の利益を上げる。その後、制作会社で経験を積み2014年にはシェアオフィスを利用しひとりで創業。現在は東京と愛媛にオフィスを構え、40名の従業員と1300名のライターネットワークを擁するまでに成長させている。