転職ノウハウ

大学卒業と同時に起業、30歳で上場を果たした社長が語る『成長する若手の3つの特徴』

30歳で上場を果たした社長に聞く!成長する若手に共通する3つの特徴
大学在学中から就職支援業を個人事業主としてスタートし、キャリア、ファイナンス、メディカル、リーガルなど、領域に特化したインターネットメディアを複数運営しているポート株式会社を立ち上げた春日博文さん。若手人材採用の最前線、仕事をする中で学んだのは成長する人材の共通点です。それは「頭角をあらわす」「目標から逃げない」「逆算志向」の3つだといいます。

学生時代の事業の経験と、新しいビジネスの波が合致して起業を決意

ポート株式会社春日博文さん

――春日さんの仕事について教えてください。
ポート株式会社の代表取締役CEOを務めております。当社は私が大学卒業と同時に立ち上げた会社で、就職情報サイト「キャリアパーク!」やマネーライフサポートメディア「マネット」など、さまざまな領域特化型メディアを運営しつつ、オンライン診療プラットフォーム「ポートメディカル」などのリアルサービスも提供しています。

――どのような経緯で起業に至ったのでしょうか?
大学時代に、就活生と企業をマッチングする就職支援関連のビジネスをやっていたんです。その時は一度会社に入って経験を積んでから将来的に起業したいなと思って、就職活動をしていたのですが、卒業する1か月前に内定を辞退して起業しました。

人生は一度きりなので、挑戦するタイミングはとにかく早くした方がいいだろうと思いましたし、ここで踏み切れないなら人生ずっと踏み切ることができないだろう、という危機感もありました。また、その当時に新しいビジネスのアイデアがありまして起業に踏み切りました。

――アイデアというと?
2011年の2月ごろにFacebookの日本語版でも提供されるようになって。当時、大手広告代理店がFacebookでビジネスをやるというプレスリリースを出していたんです。Facebookでビジネスってできるんだな、と思うのと同時に、Facebookで就活生と企業のマッチングをやるというのは面白いかもと思ったんです。

学生時代にやっていた就職ビジネスの知見も活きるし、Facebookに特化した会社、かつ就職に特化した会社なんて世の中に見当たらなかったので。実際、この9年くらい経営していて思いますが、そういったビジネスの「波」を見つける機会って少ないんです。その時に、なぜ波だと思えたかというと、自分が学生時代に就活のビジネスをやっていたからなんですよね。就活の原体験や、就活支援の事業、Facebook日本版の提供、それが重なった時に「Facebookを使った就職に波がくる」なんて思った人は本当に数少なかったはずです。

ニッチなマーケットでもいいから、とにかく頭角をあらわすことが重要

ポート株式会社春日博文さん

――実際に起業してみてどうでしたか?
「新卒採用向けのFacebookページを作りましょう」という営業をしていたんですが、驚くほど初速が良かったんです。大企業に向けてもバンバン営業して、数年で350社くらい導入していただきました。それに特化した会社がまだなくて、当時はFacebook新卒採用ページ制作ではナンバーワンのシェアがありましたね。

うまくいった理由としては、やはり「波」が来ていたということと、私の得意分野にマッチしていたことが挙げられます。それに加えて、あえて事業を広げずに一点突破したというのも大きかったですね。

当時はソーシャルリクルーティングという社名にしていて、ソーシャルメディア×リクルーティングの事業しかやらないというのを決めていました。そうすれば、この事業から逃げない。事業を進めていく中で「この事業は伸びるのか?」と疑問に思うことは誰にでもあると思います。ですが、私たちはそれを気にせず、ただひたすらに前を向いて、突っ走って、やり切ってナンバーワンを取れた。この原体験は私の中で大きいですね。

どんなにニッチなマーケットでもいいから、とにかく頭角を示すということが大事。これは起業家としての原体験であり、いまでも大事にしていることですね。ビジネスをやる時にはいきなり広いグラウンドではなく、狭い領域で徹底的に誰よりもナンバー1になれるところを選びます。ナンバー1になってしまえば、そこからさまざまなチャンスを掴んでいくことができます。これは20代の社員によく伝えています。

目標を追って結果を出せたという、成功体験が強みになる

ポート株式会社春日博文さん

――会社の中でも目立った方がいいということでしょうか?
はい、社内でまず頭角を示しましょう。そうすると、周りから覚えてもらえるようになって、そこから他の仕事のチャンスが来るようになる。

私が起業時に意識したのは、得意なものを1本持つこと。「何でもできます」は「何にもできません」と同じで、それよりも「コレしかできません」「コレならどこにも負けません」といい切った方が「それならコレをお願いしようか」となるはずです。

なので、社内でまず頭角を示して「コレが得意な人」だと覚えてもらう。そこから横に得意なことを広げて成長していけばいいんです。ちなみにこれは、専門的な能力でなくても良いです。たとえばメールのレスポンスが誰よりも早いとか、日報が誰よりも丁寧とか、誰よりもアポ獲得の架電数が多いとか、そういったことでも良いんです。まず、その会社の中で頭角を示すことが大切。

――若手の社員を見ていて、成長する人の特徴はありますか?
成長する人は、「目標」を追いますね。20代の時とかは特にそうなんですが、目標から逃げがち。とにかく目標を追って結果を出せば、どんな領域でも結果を出せるようになるんです。スキルを追うのは要注意です。さまざまな経験を通じてスキルアップしたい、という人はスピーディーに成長はしにくいです。それよりも与えられた目標を達成するというのが大事だと思います。

スキルアップとかできることを増やそうとすると終わらないんですよね。ゴールがないんです。成功体験を持って結果を出せる人になった方が圧倒的に市場価値が高いし、目標を与えられた時の再現性も高いと思っています。

たとえば、マーケティングのスキルって本当に膨大にある。そのマーケティングのスキルをすべて持つ必要はないわけです。市場価値の高いマーケッターっていうのは、たとえば「ユーザーのアクセス数を増やせる」という目標を達成できる人のことで、スキルをたくさん持っている人ではないのです。

あとは目標に対して、逆算志向になる人も成長が速いです。そういう人って、目標を達成するための最短の道を考えているので、やるべきことがきちんと見えています。どんどんテクノロジーが進化していて、スキル自体が汎用化してきています。「このスキルを持っています」という人材よりも、「結果を出せる」人材が求められていると思います。

目標を達成するために、「やらなくてはいけないことをやる」

ポート株式会社春日博文さん

――ポートもそういったところを採用時に見ていますか?
そうですね。目標に対して逆算志向で仕事ができる人材を求めていますね。与えられたミッションに到達するための思考性を見るようにしています。もちろん、スキルをまったく見てないわけではありませんが。

たとえば、事業責任者という仕事で考えてみましょう。「ユーザー会員数を増やす」「売上を上げる」といったミッションが出てくるわけです。目標を達成するには、本人からすると雑用だと思う仕事とか、社内調整だとか、極論意味不明な仕事をやる必要が出てくるわけです。そういう時に、スキルアップを目的にしている人だと、その意味不明な仕事を無駄だと思ってやりたくなくなってしまいますよね。

目標から逆算的に考えると、売上を上げるためには「やりたいかやりたくないか」を議論している場合ではない。目標を達成するために、「やらなくてはいけないことをやる」というスタンスでいてほしいんです。

もし起業したいんだったら、今すぐ起業する。起業すると、やらなくてはいけないことがたくさん出てきます。たとえば、財務、法務、マーケティングなどですね。これらすべてできるようになってから起業しよう、では起業できないでしょう。まず、やりたいことをやって、それを達成するためにやらなくてはいけないことに転換するというのが、成長する人の特徴ではないでしょうか。

そういうスタンスの人は、仕事を選ばずにたくさんの経験を積んでいる。結果的に振り返ってみると、自然とスキルアップしているんですよね。

――大手企業とベンチャー企業でキャリアアップにおける違いはありますか?
大手企業は資金もあって人もたくさんいるので、「ビニールハウスの中で育っている」ようなイメージで成長できるでしょう。いい意味で全員が「いい感じ」で育ってくると思います。真面目に幅広くインプットすることが得意な人は、大企業で成長するのは早いかもしれないですね。

逆にベンチャーの場合は、「ビニールハウスの外に放り出されて育つ」ようなイメージで成長すると思います。だから、腐ってしまう場合があるし、予想外に大きく育つ場合もありますね。アウトプットして経験を積んで、一人でもがいてカタチを作っていくタイプの人はベンチャー向きだと思います。

社会課題に対して、民間企業だからこそできる事業に取り組みたい

ポート株式会社春日博文さん

――ポートとしてこれから取り組みたい課題はありますか?
私はリアル産業(現実社会での産業)の社会課題を解決するための手段としてビジネスがあると思っていますし、そういったことを今後も目指していきたいです。直近でいうとオンライン診療プラットフォーム「ポートメディカル」などが挙げられます。サービスを提供しつつ、内閣府の主催する規制改革推進会議のオンライン診療等に関するワーキンググループにも出席して法改正に向けて意見を述べさせてもらうなど、さまざまなチャレンジをしてきています。

また、地方にもオフィス設立しています。宮崎県の日南市という人口5万人程のところなんですが、IT企業が1社もなかった街の商店街に設立して、雇用を生み、地域の活性化を図っています。地方創生というと「観光」を盛り上げるイメージがありますが、それでは一過性の盛り上がりに終わってしまいます。定住者が増えないわけです。

地方で「やりたい」と思える仕事があれば、若者は帰ってくる。若手が働いて定住すれば、自然と消費が生まれていくはずです。弊社の進出をきっかけに、現在は約15社のIT起業が進出、約150名の雇用が生まれています。これは地方創生という社会課題に対しての、私たちの一つの取り組みです。こういった試みには積極的にチャレンジしていきたいです。

目標から逃げずに、もう一度立ち向かってみよう

ポート株式会社春日博文さん

――最後に、仕事で成長できなくてくすぶっている人に対してアドバイスをお願いします。
「目標から逃げていないか?」「環境のせいにしていないか?」と自分自身に聞いてほしいですね。ただ「法律で決まっている以上の残業時間がある」「有給が取れない」など、働き方に問題のある企業だったら環境は変えた方が良いでしょう。働く環境が整っているのに、どこかで目標から逃げている部分があったら立ち向かってほしいです。くすぶっている人が環境を変えたとしても、くすぶり続けてしまうので。

20代から30代前半までは仕事の成長角度って圧倒的に高いわけです。1日1日を丁寧に生きていってほしい。せっかくいい期間だからこそ、くすぶっている時間が惜しいですよね。それを考えながら働いてほしいですね。

(取材・文/すずきおさむ)

プロフィール
春日博文(カスガ ヒロフミ)
1988年埼玉県生まれ。
大学在学中に、新卒採用支援業を個人事業主としてスタート。2011年、大学卒業と同時に株式会社ソーシャルリクルーティング(現:ポート株式会社)を創業。2018年、東証マザーズ上場。キャリアパーク!就活の未来イベカツマネット(カードローン)マネット(FX)ミツカル保険オンラインクリニック債務整理の森交通事故示談交渉の森プロ副業など、キャリアや金融、医療など様々な領域でのメディア事業を展開する。