コラム

元銀座ホステスに学ぶ! 職場や取引先に愛されるための“明日から使える”コミュニケーション術5選

藤田尚弓さん

コミュニケーション能力は、ビジネススキルの中でも重要視される要素。業種に関わらず企業の求める人物像には「コミュニケーション能力の高い人」があげられます。
単に楽しく話をするのとは違い、ビジネスシーンでのコミュニケーションは押さえておきたいポイントがあります。コミュニケーション研究家であり、銀座ホステスとして様々な業界で活躍する人たちのコミュニケーションを観察したこともある筆者が、ビジネスシーンで明日から使える5つのコミュニケーション術をご紹介します。

【其の壱】相手に安心感を与えるコミュニケーション術

“コミュニケーション能力に優れた人”と聞くと、気の利いた会話ができる人や論理的な説明ができる人をイメージすると思います。確かにデキるビジネスパーソンの多くがそういった話し方をしますが、身につけるには少々練習が必要です。同じくらい効果があり、明日から使える方法として、まずは相手に安心感を与えるコミュニケーション術を知っておきましょう。

安心感というのは相対的なものです。例えば、納期をなんとか間に合いそうな水曜日と伝えたとしましょう。頑張って水曜の夕方までに間に合わせることができたとしても、相手にとっては「ギリギリに間に合わせる人」という印象になりがちです。余裕を持って金曜と伝えておいた場合、予定が遅れて木曜の午前中になってしまっても、仕事相手は「一日早く納品してくれた人」という印象を持ちやすいのです。余裕をもって伝えておく。たったこれだけのテクニックですが、積み重なると「いつも期限を守ってくれる人」という安心感に繋がります。

そうは言っても、相手から無理な納期で依頼されることもあるでしょう。そんなときの一番残念な対応は、無理をして引き受けたものの結果的に間に合わないというケース。そんなときは丁寧に断るコミュニケーションテクで乗り切りましょう。理由を伝えると承諾率があがるという研究もあります。断るときには「理由+代わりの案」を伝えてみてください。
 例) 「お受けしたいのですが月末の繁忙期で調整が難しい状況です。来月の1週目までには納品できるのですが」

銀座のクラブでもお客様から無理な依頼をされることがあります。高いお金を払ってくれているお客様にはなんとしても満足してもらいたい。でもルール違反をして引き受けたことが他のお客様を不快にしてしまうこともあります。そんなときには「○○はできないので、××はいかがでしょうか」というフレーズで乗り切ります。代替案を出すことで、こちら側の誠意も伝わりますし、お客様の「断られた」という感じる度合も小さくなります。守れそうにない約束をしてしまう人よりも、リスクがあることは丁寧に断る人の方が将来的には信頼がおけるもの。確実にできることを伝えることが、安心感のある仕事相手だと思われるコミュニケーションなのです。

【其の弐】期待通りの仕事をするためのコミュニケーション術

職場の仲間や取引先から信頼してもらうためには、期待どおりの仕事をすることが大事です。期待というのは目に見えないので、どうしてもギャップが生まれがち。
そのギャップを補うためのコミュニケーション術を『打ち合わせ』『中間報告』『修正』というステップごとに解説します。

1、打ち合わせは具体的に
打ち合わせで大事なのは、曖昧な表現を避け具体的に確認をしておくこと。明日からスグ使えるコミュニケーション術として数字を使うことをお勧めします。意識して数字を使うようにすると、打ち合わせが自然と具体的になります。
例)
×前回より多めにお願いします
○前回より20%増でお願いします

2、中間報告で早めにズレに気づく
中間報告で大事なのは、やっている仕事と依頼側が期待する仕事のズレに気づくことです。明日からスグ使えるコミュニケーション術として、途中経過を見せてコメントをもらうことをお勧めします。完成する前にズレに気づくことができればムダな作業に時間をとられることもありませんし、修正も楽です。

3、修正は印象に気をつけて依頼する
修正で大事なのは、気持ちのいい依頼の仕方をすることです。明日からスグ使えるコミュニケーション術として、「肯定コメント+○点だけ修正のお願いがあります」という伝え方をお勧めします。こうすることで概ねOKというニュアンスが伝わるので「自分の仕事ぶりを否定された」など、残念な気持ちにさせてしまうことを予防できます。

銀座で遊ぶ男性は大きくわけると、俺様がルールな人と、相手に合わせるタイプがいます。勢いがあるうちは前者でもいいのですが、厳しい状況になっても人が離れていきにくいのは後者のタイプ。当然ですが女性にもモテる人が多いです。

【其の参】催促で不快にさせないコミュニケーション術

仕事のやり取りをする中で、催促をしなければならないこともあるでしょう。そんなとき、皆さんはどのように伝えるでしょうか。仕事だからとストレートに催促してしまう人は要注意。「約束したつもりが、していなかった」「変更していたことを忘れていた」など、自分が勘違いしているケースもあります。
 勘違いの例)
 ・「お約束した資料がまだ届いていません。今週中に送ってください」
 ・「資料は、先週の打ち合わせて不要ということになりましたけど……(不快感)」

銀座のクラブは基本的に一見さんお断りで、飲食代金が後日振込というケースも少なくありません。回収できない場合は担当ホステスの給与から引かれる仕組みです。お振込みのお願いの電話をする場合、あくまで確認をお願いするとスタンスで依頼するのがポイントになります。
 お願いの例)
 「なにかの行き違いだと思いますが入金がまだのようです。お忙しい中恐縮ですがご確認お願いしてもよろしいでしょうか」

催促のコミュニケーション術として「和らげるフレーズ+確認のお願い」という伝え方を覚えておくといいでしょう。

【其の四】<取引先向け>効果的に譲るコミュニケーション

値段や期日などで、取引先から無理を言われることもあるでしょう。断れる場合には丁寧に断るのが原則ですが、どうしても譲らなくてはならないケースもあると思います。
そんな時には効果的に譲るコミュニケーション術が必須です。これを知らないと、こちらが不利益を我慢して要求を受け入れても、あたりまえのように感じられてしまうことがあります。明日から使ってほしいテクニックは以下の3つです。

1、複数回にわける
例えば、30万円までなら値引きできるといった場合でも、いきなりギリギリの30万円を値引くのではなく、2回以上に分けて譲ります。
例)
1回目 20万円の値引き
2回目 10万円の値引き
駆け引きのようで嫌かも知れませんが「まだ余裕があるのでは?」「これしか譲ってくれないのか」といった気持ちにさせないためにもやってみてください。

2、徐々に幅を狭める
複数回にわけて譲るときは、1回目より2回目、2回目より3回目のほうが少なくなるように譲ります。
例)
1回目 20万円
2回目 8万円
3回目 2万円
こうするとそろそろ限界ということに気づいてもらいやすく、譲ってもらえたという満足感も大きくなります。

3、特別だということを伝える
いくらこちらが無理を重ねていても、相手にそれが伝わらないことがあります。「なんだ、大丈夫じゃないか」と思われるならともかく「こんなに余裕があったのか」と誤解されてしまうのは残念です。恩着せがましいと思われたくないと感じる人も、譲歩が特別であることは相手に伝えておきましょう。

銀座のクラブは接待が多いということもあり、トップ同士の根回しや水面下の交渉を近くで見聞きすることもあります。交渉上手な人は先回りして相手の心の動きを想像できる人。誠実であればわかってもらえるというのは怠慢であること、満足してもらうためにもテクニックがいるのだということを学んだ貴重な機会でした。

【其の伍】<社内向け>感情的な主張を穏やかに修正するコミュニケーション

同じ職場でもそれぞれの立場があります。相手の主張に対して反対意見を言わなくてはいけないこともあるでしょう。
自分が正しいからといって正面から否定してしまうと、心理的な反発のせいで、かえって議論が長引いてしまうこともあります。否定のニュアンスを最小限にするコミュニケーション術でのりきりましょう。例えば、会議で相手の言っていることがおかしいときでも、まずは肯定できる部分を探してみましょう。前向きなコメントをしてからやんわり意見を修正することで、相手が攻撃されたように感じないようにします。
 悪い例): 「いえ、梱包も送料も関係ありません。そもそもの品揃えの部分が問題なんです」
 言い換え例): 「少数派とはいえ、梱包や送料で決める消費者もいるかも知れませんね。品揃えの問題が改善したら、あわせて検討していきたいポイントだと思います」

ちょっと難しいと感じる人は、「でも」「しかし」といった否定形の接続詞を使わないことを明日から心がけてみてください。相手を刺激するこれらの言葉を使わずに、少しだけやわらかい表現を心がけるだけでも、だいぶ印象が変わります。
 例) 「でも、それでは間に合いません」 → 「それだと間に合わせるのは難しくなります」

銀座ホステスでもヘルプと呼ばれる若いアルバイトの女性たちには、否定形の言葉を頻繁に使ってしまう子もいます。容姿やキャラでカバーできているうちはいいのですが、お話を楽しむお客様からは「あの子はつけてくれるな」とNGが出てしまうことがあります。話の出だしに否定形の言葉を使ってしまうと、そうでないときよりも否定されているような気持ちが強くなりがち。無意識に「でも」という言葉を使っている人は多いので、気にするようにしてみてください。

【まとめ】

ちょっとしたコミュニケーションのもつれが、仕事のしにくさに繋がるように、今より少しいいコミュニケーションは仕事のやりやすさに繋がります。どれも簡単なテクニックばかりですので、ぜひ明日から試してみてください。

藤田尚弓さん

藤田尚弓(ふじた なおみ)
株式会社アップウェブ代表取締役、早稲田大学オープンカレッジ講師、コラムニスト。コミュニケーションの専門家として、テレビ出演や雑誌への寄稿、監修の実績も多数。企業研修や講演、大学などにも登壇している。著書に、「悪女の仕事術」「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」「悪女の恋愛メソッド」「銀座で学んだ稼ぐ人のシンプルな習慣」などがある。
http://www.naomi-fujita.com