職種・業種ガイド

いま「料理人」の世界が大きく変わっている?変わる飲食業界とそこで働く魅力

「料理人」の仕事と聞くと、どんな職場を想像しますか?料理に興味があっても、修業がキツそう、上下関係が厳しそう、などの理由から実際に自分が働くのはちょっと……と思っている人もいるでしょう。そこで今回は、ブログで情報発信をしている料理人のゆうとさんに、料理人の世界について語っていただきました。ゆうとさんが見る飲食業界の実情や、仕事の魅力ややりがい、モチベーションを保つ秘訣も紹介していきます。

飲食業界は魅力とやりがいが詰まった業界

長時間労働・厳しい師弟関係・低賃金など、多くのマイナスイメージが根強い飲食業界ですが、実はそれ以上にたくさんの魅力ややりがいが詰まった業界だとぼくは思っています。そんな、業界の実情、そして意外と知られていないその魅力など、飲食業界7年目のぼくの経験を交えて紹介していきます。「飲食業界に興味はあるけど、なんだか大変そうだし不安」、そんな人たちにぜひ読んでいただきたいと思います。

目の当たりにしたブラックな環境
ぼくがはじめて飲食業界に足を踏み入れたのは高校1年生のとき。小さな頃から、料理人になりたいという夢を抱いていたぼくは、地元の日本料理屋さんをアルバイト先として選択しました。この高校在学中の3年間で、まさに飲食業界のブラックな部分を垣間見ることになります。

これはあくまでぼくが働いていたお店のケースなので、もちろん飲食業界すべてに当てはまるものではありません。当時、厨房の先輩たちは、ランチとディナーの間に休憩はあるものの、朝の10時から夜の12時まで働いていました。さらには週1日しかない休日、福利厚生なし、初任給17万円。それに加えて、厳しい上下関係もついてまわり、それはそれは多くの人が辞めていきました。

そもそも飲食業界自体、ものすごく人の入れ替わりが激しく、いつも「人手不足」。長時間労働で休みも少なく、福利厚生もないとなれば、飲食業界で働きたくないと思うのは当然です。いくら料理が好きで興味があっても躊躇してしまいますよね。人手が少ないことにより、働く人たちそれぞれにしわ寄せがきて、長時間労働を強いられる。それによってまた人が辞めてしまう。完全に悪循環に陥っていたわけです。

経営側も改善努力をしている
でも、そんな負の連鎖を断ち切るべく、ブラックな労働条件をいかにしてホワイトにするか、お店の経営側もこの業界で生き残るため、必死に試行錯誤し続けています。ぼくは高校卒業後も約3年間、同じお店で働き続けました。すると労働環境こそ大きな改善はなかったものの、働く人たちに負担を強いるような、古い考え方は次第に変化していくのを感じました。

現在、ぼくは都内の飲食店で働いていますが、勤務時間は8時間弱。健康保険、厚生年金もあり、福利厚生も充実しています。飲食業界を全体的に見ても、着実に労働環境はよい方向に向かっているのではないでしょうか。

飲食業界で頑張り続けるためのモチベーション

実力次第で認められる世界
飲食業界はいわば実力の世界。腕があれば認められる環境があり、そこが大きな魅力です。そんな環境だからこそ頑張れると感じています。

わからないことがあれば先輩方に丁寧に教えてもらえるので、技術や知識の多くを吸収できますし、学んだことをすぐ実践させてもらえるので習得につながる。それを日々繰り返していると、技術はすぐに上達していきます。実力が上がれば、将来自分でお店をもちたい、有名店で働いてみたい、そんな夢もかなえられるように思えるのです。

大事なのは「料理を通して何を実現したいか」
また、「料理が本当に好き」ということも、この業界で働く大きなモチベーションのひとつです。でも、ただ「好き」というだけではなく、「料理を通してどんなことを実現したいか」を考えることが大切です。

はじめのうちは料理が下手だっていいんです。1年も飲食業界で働いていれば、たいていは上達しますから。「好き」なことを仕事にできるって、ものすごく強みです。とはいえ「好き」だけではときに、仕事に行き詰まってしまうことがあります。

そんなときはたとえば、「自分が作った料理を通してお客さまに笑顔になって欲しい」とか、「日本料理を通して外国人に日本の食の豊かさを知って欲しい」とか、「健康な食事を通して人々が健康になって欲しい」とか、「料理を通してどんなことを実現したいか」を考えると、料理の仕事が楽しくなり、また頑張れるようになるはずです。

ぼくの場合は、上に書いた全部がやりたい。ものすごく欲張りですよね(笑)。でも、いいじゃないですか。モチベーションにつながる目標が多くあるにこしたことはありません。たいていの人はおいしい料理を食べていると、自然と笑顔になるし、幸福感でいっぱいになるものです。そんなふうに、人をダイレクトに幸せにできる職業こそが料理人なんです。

料理人の世界の用語をちょっと紹介!

世の中にはさまざまな、業界ならではの「用語」がありますよね。そこで、ぼくがいる飲食業界ならではの用語をちょっと紹介します。

まずは、挨拶について。ぼくがはじめて日本料理屋さんでアルバイトをしたとき、最初の出勤は学校終わりの夕方の時間でした。そこで店長から「大きな声でおはようございます!って言うんだぞ」って言われたんですね。もう夕方なのになんで?ってちょっと戸惑いました。でも、その後も続々とみんながおはようございますって挨拶をするわけです。飲食業界で働く場合、勤務の開始時間が人によって異なることがあるため、それぞれにとっての1日のはじまりを表す挨拶として「おはようございます」に統一しているようです。

ほかにも、ちょっとしたおもしろい隠語で「今日はマグロがやまです」と表現することがあります。これは「マグロが品切れ」という意味なんですが、やま(山)ってどういうこと?って思いませんか?これはお寿司屋さん発祥の言葉だといわれていますが、お寿司で使われるネタ「海のもの」がなくなったことを「海」の反対の言葉で「山」と表現するようになったんだそう。ぼくが働いていたお店では「でやま」という言葉もありました。これは、今注文が入った分が出たら終わりという意味です。

料理人は人の笑顔をつくる職業

料理人はただ料理を作るだけが仕事ではありません。辛いことがあった人を励ましたり、人を感動させたり、みんなでワイワイ楽しむ空間を演出したりと、料理を通して人の心と体を幸せに導く仕事であり、人の笑顔をつくる職業でもあります。

料理一品とっても、その先にある笑顔は多種多様です。そんな職業、素敵だと思いませんか?もしもあなたが少しでも飲食業界に興味をもっているなら、ぜひ料理の周りに集まる人の顔を見渡してみてください。たくさんの笑い声と笑顔がそこには広がっているはずです。

監修者プロフィール
記事監修:ゆうと
小さいころに、家族みんなで餃子作りをした楽しさから料理人に憧れを感じる。高校入学と同時に、日本料理屋でアルバイトを始め、卒業後も専門学校には行かずにフリーターとして同店で3年間修業。その後、東南アジアとアメリカを放浪し、あらためて日本料理の魅力に気づかされる。いち個人としての発信力を高めるためにブログを開始。現在は、都内の熟成肉を扱うお店に勤務中。
ブログONE STEP http://yuto425.com/